2009年11月29日日曜日

顧問弁護士(法律顧問)が日々接するテーマ:総会屋に対する贈収賄罪

顧問弁護士(法律顧問)が日々接するテーマをまとめています。

今回のテーマは、株主総会の際の、会社の総会屋に対する贈収賄罪についてです。

これは、「不正の請託」とはどういう意味か、という問題です。この点について、最高裁は、会社から積極的に総会屋に依頼して謝礼を払い議事進行への協力を得て株主総会を無事に終了させるという株主総会実務の旧来的な慣行が「不正の請託」にあたるかが争われた事案において、以下のように判断しました(判決文の引用)。

株主は個人的利益のため株式を有しているにしても、株式会社自体は株主とは異なる別個の存在として独自の利益を有するものであるから、株式会社の利益を擁護し、それが侵害されないためには、株主総会において株主による討議が公正に行なわれ、決議が公正に成立すべきことが要請されるのである。したがつて、会社役員等が経営上の不正や失策の追及を免れるため、株主総会における公正な発言または公正な議決権の行使を妨げることを株主に依頼してこれに財産上の利益を供与することは、商法四九四条にいう「不正の請託」に該当するものと解すべきである。本件において、原判決認定のごとく、株式会社の役員に会社の新製品開発に関する経営上の失策があり、来るべき株主総会において株主からその責任追及が行なわれることが予想されているときに、右会社の役員が、いわゆる総会屋たる株主またはその代理人に報酬を与え、総会の席上他の一般株主の発言を押えて、議案を会社原案のとおり成立させるよう議事進行をはかることを依頼することは、右法条の「不正の請託」にあたるとした原判断は相当である。

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