このブログでは、時間外勤務手当について触れている裁判例を紹介しています(つづき)。
三 争点三について
1 原告らの主張
労働基準法三七条が定める原告らに対する平成五年五月分からの未払割増賃金(残業代)は、別紙三及び四の未払賃金合計欄記載のとおりであるが、これは各人の日報により出勤日数・水揚高を調査し、これらを以下の計算式にあてはめて算出したものである。
(一)日勤者
(1)勤務時間(一二時間)×勤務日数=総労働時間
(2)時間外(四時間)×勤務日数=総時間外時間
(3)水揚額×賃金比率=賃金
(4)賃金÷総労働時間=一時間当たりの賃金
(5)一時間当たりの賃金×〇・二五×総時間外時間=未払割増賃金(残業代)
(二)二交替勤務者
(1)勤務時間(一八時間)×勤務日数=総労働時間
(2)[時間外(二時間)+深夜勤務(残業)時間(六時間)]×勤務日数=総時間外及び深夜時間
(3)水揚額×賃金比率=賃金
(4)賃金÷総労働時間=一時間当たりの賃金
(5)一時間当たりの賃金×〇・二五×総時間外及び深夜時間=未払割増賃金(残業代)
2 被告
争う。
四 争点四について
1 被告の主張
原告らの請求のうち、平成五年五月分から平成七年九月分までについては、本訴提起までに二年を経過しているので、労働基準法一一五条の消滅時効を援用する。
2 原告らの主張
争う。
五 争点五について
1 原告らの主張
全国一般労組は、被告会社の賃金体系が歩合制であり、割増賃金(残業代)が未支給であるとして、平成元年三月二〇日以降、被告会社に対してその支払の請求を続けるとともに、徳島労働基準監督署に申告書を提出して被告会社に対する指導を求めてきたが、同監督署は、平成四年二月二八日付けで全国一般労組の主張を認め、被告会社に対し、割増賃金(残業代)を支払うようにとの是正勧告をなした。
右是正勧告に基づき、全国一般労組は未払割増賃金(残業代)の支払を求めたが、被告会社は、一律に一〇万八〇〇〇円を支払うことで一切を解決し、将来的には時間外手当(残業代)を支払わない旨回答してきたため、全国一般労組の組合員らは右回答を拒否し、平成五年九月訴訟提起に至った。この訴訟は原告勝訴となり、上告も棄却された。
以上のとおり、被告会社は、徳島労働基準監督署から是正勧告を受けたにもかかわらず、その賃金体系を改善しようとしないばかりか、一律に一〇万八〇〇〇円の支払いで将来の未払割増賃金(残業代)をも放棄させようとする態度は、低賃金で働かされている原告らに右金額を提示することによって組合内部に動揺を引き起こそうとするものであり、このような被告会社の態度に対しては、労働基準法一一四条に基づき、平成五年五月分以降の未払割増賃金(残業代)について付加金の支払を命じるべきである。
2 被告の主張
争う。
六 争点六について
1 原告鎌田の主張
原告鎌田の平成八年三月から八月までの平均時間外手当(残業代)金二万四四一八円に同額の付加金を加算した金額四万八八三六円を請求するものである。
原告鎌田が他の原告らと異なるのは、他の原告らは実際に超過勤務(残業)を行っているのに対し、原告鎌田は解雇のために、実際の超過勤務(残業)を行っていない点である。
しかし、原告鎌田の右解雇は不当であり、これがなければ従前同様の超過勤務(残業)を行っていると考えられる。
それ故、賃金債権ないしは不法行為(違法解雇)に基づく損害賠償請求権として、請求を行う。
2 被告の主張
争う。
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